お正月も終わり、年度末に向けて気ぜわしい時期ですね。
4月からの就職先が決まって、希望に胸ふくらませる若い方も大勢いらっしゃるでしょう。
今日は、そんな新社会人に向けて、昔私が体験したちょっと悲しい話をお届けします。
さまざまなソフトが群雄割拠
今から20数年前。携帯電話がPHSに取って代わり、ワープロという事務機器が姿を消しはじめ、MS-DOSがWindowsの波に飲み込まれて行ったころ。
今でこそ、事務系ソフトではMicrosoftの一人勝ちのように思いますが、当時はまだメーカー各社が、さまざまなアプリケーションの開発にしのぎを削っていました。
それでも次第にオフィスから、一太郎が消え、OASYSが消え、Lotus1-2-3が消え……。
Windowsが普及して10年も経つ頃には、文章を作るにはWord、表計算にはExcelというのが主流になりました。
主流であるということは、社内でのやりとりが、そのソフトを使うことを前提として行われていくということです。
・会議の資料はWord
・スケジュールはExcel
・引き継ぎ資料はWord
など、その形式で受け渡しすれば、誰のPCでも見られるし、編集できる。
古いソフトにこだわり続けるエンジニア
そんな中、中堅のシステムエンジニアで、かたくなに昔ながらのワープロソフトを使い続ける人がいました。
「俺はこれが慣れてるんだ。これ以外だと文字が打てない」
と。
当時まだ一太郎などをPCに残していた人もいたので、
「もー、◯◯さん、互換性のないソフトで資料作らないでくださいよ〜、開けない人も多いんだから〜」
くらいですんでいました。
そして事件は起こった
でも、ある時彼がインフルエンザで1週間近く休んでしまった時、彼の開発したプログラムの資料が必要になったのです。
クライアントの偉い人に、すぐに見せなければならないのに、誰もそのファイルを開けません。
その場は、大急ぎで近くの電気屋から該当のソフトを買ってきて、ファイルを開くことができたのですが、対応した別のエンジニアも、プロジェクトの上司もシャレにならないくらい怒っていました。
その後、当然のように、プロジェクト内での使用ソフトの統一が言い渡されたのですが、なぜか彼はWordを使うことを拒否し続け、次第に孤立していきました。
そうなると、その人に対しては新規依頼がし辛くなり、議事録も閲覧できず、開発会議からは外され、最後には仕事が無くなってプロジェクトを去りました。
経験もスキルも人並み以上にある方だったのに、「誰にでも使いやすい形の文書ファイルを作る」ことができなかったために。
なぜ彼がそんなにそのワープロソフトにこだわったのかは謎です。
慣れ親しんだツールを捨てて、新しいツールを使うのは、面倒でもあり寂しいことでもあったのかもしれません。
自分が使いやすいかじゃなく、みんなが使えるかどうか考える
ビジネスの世界で、「大勢の人が使える」ことはとても大切なことです。
情報を共有して認識を合わせることで、大きなプロジェクトが円滑に進んでいくからです。
学生のみなさんが就職した時、そこでは最新型のツールではなく、少し古いPCやソフトが使われているかもしれません。
「うわっ、こんな古いの使ってるの?自分が今まで使ってたPCは最新型なのに、合わせるのやだなあ〜」
そんな場合でも、大切なのは自分が使いやすいかどうかではなく、メンバーみんなが使いやすいことだと考えてください。
(セキュリティレベルが低すぎて火急の問題がある、などは別ですが)
それはフリーランスの場合でも同じで、何度も言っているのに開けない形式でファイルを作ってくる人とは、だれも仕事をしたくないでしょう。
まとめ
世の中にはテキストエディタ1つ取っても、たくさんの種類があります。
あなたがやり取りする相手は、どのソフトを使っている人が多いでしょうか
受け取った人が、確実に開ける形式でファイルを作ることを意識してみてください。
それでは良いITライフを!